親しくしていた方の訃報を受けたとき、動揺の中にあっても最低限のマナーは守りたいものです。
そして何よりも、大切なご家族を失ったご遺族に対する労わりの気持ちを大切にしましょう。
1. 弔問に伺う時期
いつ弔問に伺うかはお付き合いの度合いにより異なりますが、近親者や親しくしていた方の場合、お通夜や葬儀の準備を手伝う気持ちで駆け付けましょう。遠隔地にお住まいの近親者は、電報や電話で「いつ、伺うか」を伝えた方が良いでしょう。ただし相手は取り込み中ですので、電話をかける場合も簡潔に用件だけを伝えるようにします。駆け付けたら、お悔やみの言葉とともに哀悼の気持ちを伝え、故人との対面を終えたら、何かお手伝いできないか申し出てみましょう。故人とあまり親しくない場合や、職場の関係者などは、死去直後の取り込み中は避けて、お通夜や葬儀のときに弔問するようにします。隣近所に不幸があった場合は、日ごろそれほど親しい付き合いがなくても、弔問にはすぐに伺いたいものです。ただし取り込み中なので長居はせず、玄関先でお悔やみの言葉をかけ、失礼するようにします。何かお手伝いが必要でないか申し出ると良いでしょう。
2. 弔問に伺うときの服装
取り急ぎ駆けつけるときの服装は、地味なら平服でも失礼になりません。ただし、あまり派手な化粧は避け、指輪や装身具等、華やかなものは外す心遣いはしたいところです。
3. すぐに弔問に伺えないとき
仕事や都合により、すぐに弔問に伺えないときもあります。その場合は代理の人に弔問をお願いするか、取り急ぎ弔電を打っておきます。ただし、弔電はあくまで略式のものですから、後日訪問できるようになったら弔問に伺うか、お悔やみの手紙を書いて追悼の意を表しましょう。
4. お悔やみの言葉
お悔やみの言葉では、使ってはならない「忌み言葉(いみことば)」というものがあります。忌み言葉とは、主に「重ねがさね」、「度々(たびたび)」、「益々(ますます)」など繰り返しを意味する言葉で、不幸が繰り返す、不幸が重なるといったことにつながるので、葬儀の場では使わないようにします。また、もうひとつ気をつける点として、 故人やご遺族と親しくしていたりすると、亡くなられた状況などをつい尋ねてしまうことがあります。葬儀の場では、亡くなられた経緯などについてあれこれ尋ねないことがマナーとされていますので、心に留めておきましょう。悲しみの中にいるご遺族にお悔やみを述べるのは難しいものですが、上手に言えなくても、真心のこもった言葉、態度、行動があれば先方に伝わります。
あまり難しく考える必要はありません。むしろ、「このたびは、ご愁傷様です。心よりお悔やみ申し上げます。」といった一般的なお悔やみの言葉を使う方が簡潔で好ましいものです。
5.気を付けておきたいNGマナー
① 訃報の知らせを受け、深夜に駆けつける
親しい方の場合でも、深夜の弔問は遠慮した方が良いでしょう。
② 電話をかけてお悔やみを述べる
葬儀を控えたご遺族は、家族を亡くした悲しみの中でもやるべきことに追われています。そんなときに電話をかけてお悔やみを述べるのは、非礼に当たります。参列の際に直接お伝えするか、参列できないときは弔電を打ちましょう。
③ 喪家へ長居をする
葬儀前の喪家は想像以上に忙しく、ご遺族も疲れています。そこへ長居をするのはマナー違反です。お悔やみの言葉を述べて、早々に引き上げましょう。
逆に、近親者や親しくしていた方、ご近所の場合などは、何か手伝えることがないかを伺って進んでお手伝いしましょう。
④ 故人との対面を自分からお願いする
故人との対面を自らお願いするのは配慮に欠けます。ご遺族から勧められた場合にのみ、謹んでお受けするのがマナーです。
6.故人との対面の作法
1.故人から一歩下がった位置で、故人に対して一礼します。
2.故人の傍へ寄って、手を合わせます。
3.故人のお顔を覆っている白布を、ご遺族があげてくださいますので、故人のお顔を拝して対面します。
4.手を合わせ、故人の冥福を祈ります。
5.故人から、一歩下がります。
6.ご遺族に一礼して、退席します。
故人との対面においては、対面を勧められた場の状況というものもありますから、厳格にこの作法を守らねばならない、というわけではありません。
大切なのは、”ご遺族に対するお悔やみの気持ち”と、”故人の冥福を祈る気持ち”です。