遺影写真は、葬儀の際に祭壇に飾られる故人の写真のことをいいます。葬儀の後は自宅の仏間や、祭壇に祀り故人様を偲びます。宗教的に意味はありませんが、現代の宗教儀式において、遺影は必ず用意しなければいけないものだと認識されています。しかし近年、直葬や簡易的な葬儀などの「儀式に当てはまらない場合」に省略されることも多くなっています。
遺影写真の始まりは?起源は?
遺影写真は風習としては日本独自のもので、起源については諸説あります。はっきりとした起源は分かっていませんが、浮世絵「死絵」が始まりだったと考えられています。江戸時代に亡くなった役者などの有名人の冥福を祈るために販売されていたものが今の遺影写真の起源の一つだといわれています。時代が変わっても大切な人や、愛する人を身近に感じる手段として遺影写真はその役を担っていると感じます。
遺影写真を選ぶときののポイント
遺影写真選びのポイントは「表情」「服装」「背景」「撮影時期」「ピント」でしょう。
「服装」は紋付の黒い着物やスーツに加工するのが主流でしたが、現在はそのような写真加工を選ぶ方は少なくなりました。遺影からその人らしさが伝わるよう普段着やお気に入りの服の写真を選ばれています。「表情」は硬い表情ではなく少し微笑んだものが多く、「撮影時期」は送る側の一番思い出の深い時期のものを選ぶ方が多いです。「ピント」はある程度加工で修正できるように技術が発達しましたが、しっかりピントの合ったものを使用されたほうがより奇麗に仕上がります。「背景」は葬儀社の用意している背景パターンから選んだり、そのまま使用したり様々です。表情や服装、その人の人柄に合わせた背景を選ぶことが大切です。
遺影写真の準備のさまざま
生前に遺影写真用の写真を用意することが、写真を撮ることへシフトしていると感じます。それはスマートフォンやデジカメの普及によることが大きいです。何気にスマートフォンで撮った写真を遺影に使う方が多くなりました。実際にデータを加工したほうが綺麗に仕上がることも理由の一つでしょう。良い写真を用意するには、日ごろから頻繁に写真を撮っておくことが大切なのかもしれません。お出かけの際の楽しんでいる表情やリラックスした表情などフォーカスチャンスはたくさんあります。スマートフォンやデジカメには連写機能や色彩調節など便利な機能もたくさんあります。そういった機能を駆使しつつ積極的に写真を撮っておくこともいい遺影写真を用意できることに繋がります。
また、あらかじめフォトスタジオなどで生前に遺影写真を作っておくこともできます。お気に入りの衣装を身にまとい、プロのヘアメイクにプロのカメラマンによる撮影、最高の一枚を遺影に残す方もいます。
最後に
直葬や簡易的な葬儀が急激に増加し「遺影写真」を用意する意味や意義が薄くなっていると感じます。自身の大切な人の写真はスマートフォン中にたくさん保存されているかもしれませんが、最期にその中の一枚をしっかり遺影写真にし、その人を送り出してほしいと思います。もちろん、いろいろな状況下の中で葬儀をされる方がおられますので無理にとは言えいません。しかしながら、遺影写真がその葬儀の中心になり、供養になり、その人をいつまでも忘れないという残された家族の絆になるでは?と私たちは思っています。ぜひご参考になさってください。